ライミ監督『スパイダーマン3』解説あらすじ

サム=ライミ

始めに

 ライミ監督『スパイダーマン3』解説あらすじを書いていきます。

演出、背景知識

作家主義のトップランカーだが…

 サム=ライミ監督はSFファンタジー映画における作家主義のトップランカーであり、ジェームズ=キャメロン監督(『エイリアン2』)とか、最近ではポン=ジュノ監督(『パラサイト 半地下の住人』)などに比肩します。

 ただ、とはいえ個人的にはあんまり好きではなくて、何故かというとゾンビ映画はロメロ以前のクラシックなホワイトゾンビのほうがムーディで好きなので、ロメロ(『ナイト=オブ=ザ=リビングデッド』)以降のブラックコメディテイストの吸血鬼風のゾンビ映画が肌に合わないのです。『死霊のはらわた』シリーズ(1.2.3)とか、上手いのは分かるけれど嫌なのです。ゲームだと『デッドライジング』シリーズ(1.2.3.4)とかがロメロ的なゾンビ作品としては有名ですが、古典的なゴシックホラーテイストの『バイオハザード』シリーズや、『SIREN』シリーズ(1.2.3)のほうがムードがあって好きです。

 ただ実力は認めざるを得ないのは確かで、それとアメコミ映画にはあんまりそういう嫌味なところがないので安心して演出を味わう事ができます。

アメコミ映画の佳品。メロドラマ

 アメコミ原作映画に関しては30年代ごろからあり、すでに長い歴史的な蓄積があるジャンルなのですが、従来のヒット作はバートン版『バットマン』シリーズ(1.2)やドナー監督『スーパーマン』のような感じで、象徴主義演劇風のカリカチュアライズや古典的なアラン=ドワンや連続活劇風の牧歌的なコメディアクション路線がメジャーでした。

 本作はメロドラマとして堂々たる完成度の高さで、リアリスティックな心理が展開されていきます。

赦しを巡るドラマ

 本作は赦しをテーマにするドラマになっています。一作目で犯してしまったピーターとサンドマン双方の過ちに、本作で決着がつけられます。

 またピーターとハリーの間の確執にも決着がつけられ、三部作を締めくくります。

賛否両論?

 本作はシリーズのなかでは賛否両論ありますが、ちょっとシンビオートのスラップスティックコメディ要素が、シリアスなメロドラマ色のつよいライミ版『スパイダーマン』のなかでは、浮いてしまっている印象はします。ヴェノムは無理に出さなくてよかった印象で、詰め込み過ぎで、窮屈でどっちつかずな内容です。

 もう少しハリーとサンドマンの描写に尺を割くべきとは思います、

物語世界

あらすじ

 スパイダーマンの正体であるピーター=パーカーもメリー=ジェーン=ワトソン(MJ)と交際を続けています。MJも女優として念願のブロードウェイ=デビューをします。ピーターはMJへのプロポーズを決意し、メイおばさんに打ち明けます。「MJを幸せにする」と言うピーターに、おばさんは亡きベンおじさんがくれた婚約指輪をそっと託すのだった。

 アパートに戻る途中、ピーターは「ニュー=ゴブリン」こと親友ハリー=オズボーンの襲撃を受けます。ハリーはピーターが父ノーマンを殺したと思い込み、復讐しようとしていました。闘いのなか、ハリーは頭部を強打します。病院に運ばれたハリーは、父が死ぬ以前から最近までの記憶を失いました。

 警察は郊外でフリント=マルコという男を追っていました。彼は愛する娘の医療費の為に、かつて強盗に加担し、誤ってピーターの叔父であるベンおじさんを殺害してしまった犯人でした。その後、刑務所から脱獄したマルコは物理研究所の構内に逃げ込み、そこで分子分解の実験に巻き込まれ、体が砂で構成されている怪人「サンドマン」になります。

 マルコがベンおじさんを殺した真犯人であると知ったピーターは、謎の液状生命体「シンビオート」に寄生され、「ブラック=スパイダーマン」となっていました。そのせいで暴走するものの、何とかシンビオートを体から離しますが、シンビオートは教会に来ていたピーターに逆恨みするエディに寄生して「ヴェノム」となります。

 サンドマンと手を組んだヴェノムはMJを捕らえ、スパイダーマンを誘い出します。スパイダーマンは改心したニュー=ゴブリンの助けを得て戦います。

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