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コーエン兄弟『ファーゴ』解説あらすじ

1990年代解説
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はじめに

コーエン兄弟『ファーゴ』解説あらすじを書いていきます。

演出、背景知識

バロック喜劇(ドストエフスキー、ジョイス)

 コーエン兄弟は文学的な素養も豊かで、『オー=ブラザー!』でジョイス(『ユリシーズ』)のパロディとしてのスタイルを確立し、『トゥルー=グリッド』でもサラッとハサウェイ監督の原作を超えていくなど、新古典主義者、モダニストとしての極めて堅実な仕事が印象的な監督です。

 本作もドストエフスキー『罪と罰』やハイスミス『ふくろうの叫び』を思わせるような、黒い哄笑に満ちたバロック喜劇です。

巻き込まれサスペンス

 本作はヒッチコック監督に代表される巻き込まれサスペンスになっています。自業自得ではありつつ、凶悪犯罪にまきこまれるジェリーの災難が描かれます。

日常の隣りにある悲劇

 本作がテーマとしているのはパーソナリティ障害だったり、犯罪行為だったり、そうしたものは日常と連続的であるということです。

 だれでも少しのきっかけで、パーソナリティ障害にかかって年単位のタイムロスをしてしまったり、取り返しの付かないことをしたりというのは実際に起こり売ることです。

 本作はドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』のように、各々のエージェントがそれぞれ合理性を発揮して戦略的コミュニケーションを展開するなかで、各当事者にとって最悪の帰結が齎される状況を描いています。

 それがいつどこでも起こりうるという事実は、マージが得ようとしているささやかな幸福に影をさしています。

物語世界

あらすじ

 1987年、ミネソタ州ミネアポリス。

自動車販売店営業担当のジェリー=ランディガードは、多額の借金を抱えています。そこで妻ジーンの狂言誘拐を企み、販売店の社長を務める裕福な義父のウェイドから8万ドルの身代金を奪おうとします。ジェリーはカールとゲアという二人のチンピラとノースダコタ州のファーゴの酒場で打ち合わせをします。

 二人組はジェリーの家に押し入ってジーンを誘拐します。ところが、ナンバープレートをつけ忘れていたためパトロール中の警官に停車を命じられ、ゲアが警官を射殺してしまいます。さらに目撃した若者二人も殺害します。

 翌朝、ブレーナード警察署の署長であるマージ=ガンダーソンが臨月であるのに殺人事件の捜査に取り組みます。マージはジェリーにたどり着き、不信感をいだきます。

 ジェリーは警察に行こうとするウェイドに金を用意するように説得します。しかしカールはジェリーに報酬の引き上げとして、8万ドル全額を要求します。いつの間にか殺人事件になっていたことを知り、ジェリーは驚愕します。彼は、誘拐犯が100万ドルの身代金を要求してきたとウェイドに告げ、ウェイドは金を用意します。しかし約束の日、ウェイドはジェリーを信用せず、自ら身代金を持って誘拐犯と交渉しに行きます。

 待ち合わせの場所に現れたウェイドを見て、カールは約束が違うと激怒します。ジーンを解放しなければ身代金は渡せないと言うウェイドをカールは射殺し、大金の入ったブリーフケースを奪います。その後、ジェリーはウェイドの死体を見つけ、それを車のトランクに載せて去ります。

 アジトに戻った時には、ジーンはゲアに殺されていました。カールは誘拐に使った車をどちらが手にするかで口論になり、カールはゲアに殺されます。

 やがて捜査のなかでムース湖に偵察に行ったマージは殺人事件に使用された車と、カールの死体を木材破砕機で粉微塵にしているゲアをみつけます。マージは逃げようとするゲアの足を撃ち、確保します。署へ移送中、マージは後部座席のゲアに、なぜこんなことをしたのか問いかけるものの、ゲアは何も答えられません。

 逃亡中だったジェリーも、ビスマーク郊外のモーテルで逮捕されます。

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