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レオーネ監督『夕陽のガンマン』解説あらすじ

1960年代
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はじめに

 レオーネ監督『夕陽のガンマン』解説あらすじを書いていきます。レオーネ監督のドル箱三部作(1.2.3)の2作目です。

背景知識、演出

黒澤明の影響

 レオーネは黒澤明監督の影響が顕著です。そもそも『荒野の用心棒』も黒澤監督『用心棒』のモロパクリ映画でした。

 黒澤明の作品の基調はトルストイ(『戦争と平和』)、ドストエフスキー(『罪と罰』)といった、ロシア文学のリアリズムで、代表作『七人の侍』など、グロテスクなまでのリアリズムで民衆の姿を活写し、そこにはトルストイやドストエフスキーの最良の部分が現れていました。レオーネにもそうしたエッセンスが継承されます。

 しかし、黒澤明の演出力は五〇年代がピークで、以後は右肩下がりな傾向があります。黒澤明は助監督、脚本家としての最初期のキャリアの仕事もピカイチで、とにかく映画作りの基礎技能が地味に高いのですけれども、国際的な名声が高まるにつれて、演出は大仰で、キレの悪さも目立つようになっていってしまいます。レオーネもキャリアの後期は大仰な芸術イキリが目立ちます。

 こんな感じでいいところも悪いところも黒澤譲りです。

ノワール、ハードボイルド 

 本作に影響した黒澤明監督『用心棒』はハメット『血の収穫』というハードボイルド文学の影響が知られています。これはシチュエーションが共通しており、主人公がさまざまな勢力の思惑が渦巻く土地で戦略を巡らせて立ち回る、という中心的なデザインを引き継いでいます。

 ヘンリー=ジェイムズ(『鳩の翼』『黄金の盃』)の影響で独特のニヒルなリアリズムを展開したハメットでしたが、本作の虚無的なムードにもその影響が見えます。また、複数のエージェントが戦略的なコミュニケーションを巡らせる本気のデザインもハメット作品の影響が見えます。

物語世界

あらすじ

 賞金稼ぎのダグラス=モーティマー大佐は、1000ドルの賞金首を仕留めるものの、保安官事務所で10000ドルの賞金が賭けられたインディオ一味が近くにいることを知ります。

 2000ドルの賞金首を仕留めた賞金稼ぎのモンコもインディオ一味を狙っていて、モーティマーはモンコと組んで一味の賞金を山分けしようとします。一味は、悪党グロッギーとエルパソ銀行を襲撃しようとしています。

 モーティマーはインディオの情報を得るため、モンコを一味に潜入させようとします。モンコは刑務所から一味の仲間を脱獄させることで、恩を売って一味に加わります。インディオは保安官をまこうと、モンコたちに別の銀行を襲撃するようにいうものの、モンコは途中で彼の手下を殺し、保安官たちにエルパソ銀行が襲撃されることを知らせます。しかし、保安官たちが到着する前にインディオは銀行の金庫を奪って逃げていました。

 作戦が失敗し、モンコはモーティマーと手を切ろうとするものの、モーティマーはモンコを説得して、インディオを挟み撃ちにしようといいます。モンコはモーティマーを出し抜くため、インディオを違う場所に誘い込もうとするものの、用心深いインディオは別の方角に逃亡します。しかし、そこには二人の考えを見抜いたモーティマーがいました。

 モンコとモーティマーは一味から金を奪おうとするものの、正体がバレて捕らえられてリンチされます。インディオは二人を殺して銀行襲撃犯に仕立てようとし、その夜に彼の命を受けたニーニョによって二人は脱走します。

 インディオは手下たちに二人を追わせて金を独り占めしようとするものの、グロッギーに見抜かれ、ニーニョは殺されます。二人を追跡した手下たちは全員返り討ちにあい、インディオはモーティマーから勝負を挑まれます。実はモーティマーの妹夫婦はインディオに殺され、彼は復讐のためにインディオを追っていました。

 インディオは不意打ちでモーティマーを殺そうとするもののモンコに阻止され、一騎打ちの末にモーティマーに射殺されます。復讐を果たしたモーティマーは、一味の賞金をモンコに全て譲り、その場を立ち去ります。

 モンコは生き残っていたグロッギーを射殺して、インディオ一味の死体を乗せた荷馬車と去ります。

 

 

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