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伊丹十三監督『静かな生活』解説あらすじ

1990年代解説
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はじめに

伊丹十三監督『静かな生活』解説あらすじを書いていきます。原作は大江健三郎です。

演出、背景知識

伊丹十三らしくない作品

 本作は佳作です。なぜならこの作品が伊丹十三っぽくないからです。

 伊丹十三は映画のなかではモダニスト路線で、ゴダール(『軽蔑』)やトリュフォー(『アメリカの夜』)などのアート映画のコンセプトを継承しています。反ブルジョア主義や形式主義的な実験のイズムはこうした作品より受け継いでいます。

 それはいいんですが伊丹十三の作品は基本的に下品で汚いです。北野武監督『みんな〜やってるか!』とかみたいな感じで、俗な笑いのセンスと形式主義的な実験がどぎつく癖が強いです。

 本作はそういう伊丹十三特有の嫌味がありません。

スピルバーグ、大林宣彦

 本作は原作が大江健三郎で、原作がA.A.ミルンの影響強い内容なので、独特の繊細でセンチメンタルな叙情があります。本作もそうした部分をうまく捉えています。

 印象としては大林宣彦監督(『ふたり』)やスピルバーグ監督のジュヴナイルに近いです。

原作との違い

 プロットは概ね原作の展開をなぞっています。とはいえタルコフスキー監督『ストーカー』批評のくだりとか、一部のエピソードがカットされています。

物語世界

あらすじ

 絵本作家を目指すマーちゃんは、作家である父と優しい母、大学入試を控えた弟のオーちゃん、そして音楽の才に恵まれるも知的障害者である兄のイーヨーの五人家族です。

 ある年、家の下水を直そうとして失敗した父は、家長としてのプレッシャーから、オーストラリアの大学へ講師としてママと出向きます。留守を引き受けたマーちゃんは、イーヨーたちの面倒をみますが痴漢事件、ポーランド大使への意見運動、イーヨーの作曲した「捨て子」をめぐる騒動などが起こります。

 パパたちの出発後、マーちゃんはイーヨーを連れてプールに通うことになり、そこでパパの昔の知り合いの新井君が、イーヨーのコーチになります。新井君の指導は達者で、イーヨーに彼の大好きなテレビの天気予報のお姉さんまで紹介してくれます。ところがパパやパパの友人の団藤さんたちから、新井君の暗い過去を聞かされたマーちゃんは、誰もいないところで新井君に会わないよう忠告を受けます。 

 しかし、それが新井君を怒らせ、団藤さんが大怪我をさせられ、マーちゃんまで暴行を受けそうになります。しかし新井君にイーヨーが飛びかかり、マーちゃんを守ります。

 パパのこころも安定した頃、事件の数々を綴ったマーちゃんの絵日記に、イーヨーは「静かな生活」とタイトルをつけます。

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