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トム=クルーズを救いたい。『コラテラル』解説あらすじ

2000年代解説
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始めに

始めに

『ミッション:インポッシブル』の新作が話題ですね。ここでトム=クルーズの代表作『コラテラル』のレビューを書いていきます。

演出、ジャンル、ムード、背景知識

脚本の映画。オムニバス(タクシー)での密室劇

 この作品は、何といってもまず脚本が光る映画です。スチュアート=ビューティーによる脚本ですが、とにかくタクシーという乗合馬車における心理劇の展開がうまく、クルーゾー監督『恐怖の報酬』、フォード監督『駅馬車』、アーサー=ペン監督『俺たちに明日はない』、スピルバーグ監督『ジョーズ』、モーパッサン「脂肪の塊」などを連想させます。

 マックスとヴィンセントの密室での掛け合いや心理劇が見どころです。

悪役を演じるクルーズ

 ハリウッドのスターシステムにおいて、トム=クルーズという俳優は主人公であることが多いですが、この作品では悪役を演じます。クルーズ演じる殺し屋・ヴィンセントは非情な男で、他人の命を何とも思いません。

 そんなヴィンセントと不幸にも乗り合わせてしまったタクシードライバーのマックスが、ヴィンセントにある種感化されるような形で成長を遂げ、自分の命や他者を守るために勇気を奮います

マイケル=マン監督お得意のガンアクション

 マイケル=マン監督といえば『ヒート』などに見られるようにガンアクションが得意な演出家で、この作品も緊張感ある殺陣に満ちています。監督作品には出来不出来にムラがある監督ではありますが、これは優れています。

 終盤のガンアクションは北野武監督『ソナチネ』を連想する内容でした。

物語世界

あらすじ

 タクシードライバーのマックス(ジェイミー・フォックス)は、ある夜、最初の客アニー(ジェイダ・ピンケット=スミス)と目的地に着くまでの時間に賭けをします。賭けにマックスは勝ち、検事局に勤めるアニーから連絡先を貰います。次にマックスは、「ヴィンセント」(トム・クルーズ)と名乗る客を乗せます。マックスの実力と真面目さに感心したヴィンセントからタクシーの貸切りを持ちかけられ、引き受けます。

 しかしヴィンセントの正体は殺し屋で、タクシーを貸切りにしたのは5人のターゲットを殺すためでした。当初マックスはそれに気付かなかったものの、ヴィンセントが殺した標的の死体がマックスのタクシーの上に落下します。戻ってきたヴィンセントは態度を豹変させ、マックスを殺すのもいとわないと脅迫します。

 ヴィンセントは「ロスでは地下鉄で男が死んでも誰一人気付かない」と都会の無関心に憤る一方で、「地球上から人間が1人や2人消えたところで何の変化も無い」と言い切るのでした。ヴィンセントは標的データの入ったかばんを奪って逃げようとしたチンピラ2人を殺し、クラブハウスでマイルス=デイヴィスの昔話に花を咲かせる老トランペッターも、マイルス=デイヴィスの音楽歴に関する質問に間違った回答をしたため殺します。しかしマックスが入院している母親を見舞いに訪れると、一緒に病室へ入ったヴィンセントは紳士的に振る舞います。

 耐えられなくなったマックスは、隙を見てヴィンセントの標的データの入ったかばんを奪い、中身ごと路上に投げ捨てます。しかしヴィンセントはあきらめず、データのバックアップを得るため依頼人である麻薬組織のボス、フェリックス(ハビエル・バルデム)のもとへ、マックスを自分の代役として向かわせます。ヴィンセントは秘密保持のために依頼人と会ったことが無く、マックスはヴィンセントと名乗ってフェリックスを訪れます。高い代償を払って作成した検察側証人リストの紛失を知ってフェリックスは立腹し、マックスは命の危機にさらされるものの、何とか言い逃れます。

 マックスは残る二名の標的データがコピーされたUSBメモリを手にヴィンセントのもとへ戻ります。マックスとヴィンセントは次の標的へ向かうものの、フェリックスを見張っていたFBI、そしてマックスの言動を怪しんだフェリックスが差し向けた用心棒達に追跡さます。

 ヴィンセントは4人目の標的を始末するために、マックスをともなってコリアンバーに入り、標的のボディーガード、FBI、フェリックスの用心棒を交えた乱闘になります。マックスはヴィンセントによる犯行の当初からこの事件を追っていたロス市警の刑事に保護されるものの、仕事を終えたヴィンセントは刑事を射殺します。怒ったマックスは、ヴィンセントを乗せたままタクシーを暴走させて横転させ、ヴィンセントは負傷しながらも最後の標的である5人目を殺しにいきます。

 事故を目撃した警官がマックスを保護しようとするものの、タクシーのトランクに入れられていた最初の被害者の死体を発見し、殺人の容疑者としてマックスを拘束しようとします。マックスは逮捕を覚悟するものの、ヴィンセントが残した端末画面には5人目の標的であるアニーの姿がありました。そこでマックスは警官を拘束して銃を奪い、アニーの元へ走って向かい、途中で通行人の携帯電話を奪います。

 アニーと連絡が取れたマックスは、死の危険が迫っていることを説明します。アニーはやがて事態を悟ってヴィンセントをかわし、庁舎ビルからマックスと逃げ出します。ビルの地下に直結した地下鉄で逃げ延びようとするマックスとアニーを、ヴィンセントは追い詰めます。

 覚悟を決めたマックスは走行中に地下鉄の明かりが消えた瞬間、連結部のドア越しに銃弾を撃ちます。ヴィンセントも銃を撃つものの、致命傷を負ったのはヴィンセントの方でした。ヴィンセントは「ロスの地下鉄で男が死んだところで、誰も気にかけないさ」と言い残し、座席の上で眠るように息絶えます。

 マックスはアニーと連れ立って明け方の地下鉄を降りて行くのでした。

総評

オムニバス(乗合馬車)のサスペンスの佳品

オムニバスという密室におけるサスペンスの佳品です。おすすめ。

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