PR

是枝監督『海街diary』解説あらすじ

2010年代
記事内に広告が含まれています。

始めに

始めに

 是枝さん、パルムドール受賞ならずということで残念でした。今回は『怪物』発表を記念して、私が好きな『海街diary』のレビューを書いていきます。

演出、ジャンル、ムード、背景知識

松竹蒲田調、大船調の衣鉢を継ぐリアリズム。ささやかな日常デッサン

 是枝監督は、画面の構成力、演技指導に関しては日本でも指折りの実力者です。それに関しては松竹リアリズムの巨匠、小津安二郎(『東京物語』)、成瀬巳喜男(『浮雲』)、木下恵介(『楢山節考』)にも匹敵します。俳優の内なる魅力を舐めるように徹底的なカメラで追求する成瀬が、是枝の演出と特に近いと思っています。

 この作品においても、どのキャストも生き生きとした姿が描かれていて、思わず見入ってしまいます。あまり大きな起伏のあるプロットではありませんが、むしろそこがよく、圧倒的な絵作りの中に、キャスト一人一人の本来の魅力が映されています。

是枝さんのいいところと悪いところ

 是枝監督には、いいところと悪いところがやはりあります。いいところは先ほど述べましたが、悪いところというのは、とにかく脚本の着想とかテーマ、掘り下げ方が浅薄です。『誰も知らない』『三度目の殺人』『万引き家族』とか、社会派の問題作風の作品は、本当に24時間テレビのドラマとか、ワイドショー、週刊誌漫画レベルのコテコテのお話です。それと『空気人形』みたいな変化球も滑り倒します。けれどもやはりそうした作品においても是枝さんの絵作り、演技指導の手腕は光っているのです。 

 こういう傾向があるため、是枝監督の作品では、「雰囲気映画」というか、雰囲気とか日常描写が肝で、陳腐なドラマが邪魔にならない作品が秀でて見えます。

物語世界

あらすじ

 家族を捨てて出ていった実父が亡くなったことがきっかけで、香田三姉妹のもとへ腹違いの妹・すずが加わります。すずを加えた四姉妹の暮らしが描かれます。また、看護師である香田幸は、看取ることの難しさを考えるようになり…

登場人物

  • 香田幸(綾瀬はるか):長女。看護師であり、看取ることの難しさを考えている。
  • 香田佳乃(長澤まさみ):次女。異性関係が派手。
  • 香田千佳(夏帆):三女。家庭的。
  • 浅野すず(広瀬すず):四女。自分の居場所について悩んでいる。

総評

瑞々しいキャストのデッサン。圧巻の絵作り

 ささやかな日常デッサン。キャスト本来の魅力が瑞々しく画面に捉えられています。佳品です。

関連作品、関連おすすめ作品

・谷崎潤一郎『細雪』:四姉妹の四季。

コメント

You cannot copy content of this page

タイトルとURLをコピーしました