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ジョージ=ルーカス監督『アメリカン=グラフィティ』解説あらすじ

1970年代解説
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始めに

ルーカス監督『アメリカン=グラフィティ』について解説あらすじを書いていきます。

演出、背景知識

ニューシネマ、ベトナム戦争映画

 本作品はSWシリーズで有名なジョージ=ルーカス監督の代表作の一つです。SW4が戦争に翻弄されながらもドライでシニカルな青春を生きる若者の姿を描いたルーカスでしたが、本作においてもそうした描写は通底しています。

 また本作における青春時代はすでに過去の中のもので、後置的に60年代を語る内容になっています。青年たちのその後はエンディングに静止画と字幕で簡潔かつ非情に描写されます。

失われた時を求めて

 本作品はフローベール『感情教育』、プルースト『失われた時を求めて』、村上春樹『風の歌を聴け』にも似て、狂騒の中で失われていった青春のストーリーになっています。

 本作品で印象的なのは、その語り口にあります。本作は基本的には作中でベトナム戦争というものを直接的に描いていません。あくまでも中心として描かれるのはささやかな青春の日常です。ラストのエピローグで仲間の一人が事故で死んだのに加え、もう一人がベトナム戦争で戦死したらしきことが簡潔に字幕で語られます。

 例えばレマルク『西武線線異状なし』にも似ていますが、その死に関するごく唐突かつあっさりした記述がなおさら、戦争というものの残虐さを際立たせます。無名の一人として大量の死が起こる中で、その生が顔のないまま失われていくのが戦争です。

音楽

 本作にはオリジナルの劇伴はなく、全編にわたり物語の設定年代である1950年代半ばから1960年代前半にかけての楽曲が引用されます。DJであるウルフマン=ジャックを本人役で登場させています。

 エンドロールで流れるザ=ビーチ=ボーイズの「オール=サマー=ロング」は舞台となった1962年ではなく、1964年の楽曲です。

物語世界

あらすじ

 カリフォルニア州の田舎町、モデスト。カート、スティーブ、テリー、ジョンの4人は、その夜も行きつけの店「メルズ=ドライブイン」にそれぞれの愛車で集まっていました。明日の朝、カートとスティーブは大学進学のためにこの街を去ります。しかしカートは今になって、大学へ行くのを1年遅らせようかと悩んでいました。車のラジオからは、人気番組「ウルフマン=ジャックーショー」が流れます。

 続いてやってきたカートの妹ローリーはスティーブと付き合っていました。スティーブは、自分が大学へ行っている間はお互い自由に恋愛しようと言い、ローリーは不機嫌になります。

 ウェイトレスのブダーを口説きながら追い回していたテリーに、留守の間愛車のシボレーを預かってほしいとスティーブは申し出ます。テリーは嬉し泣きするほどの喜びようで、鍵を受け取るとさっそく街へと繰り出します。

 カート、スティーブ、ローリーはローリーの車で母校の体育館で行われるダンスパーティーに向かいます。途中でカートは白いサンダーバードに乗ったブロンドの美女を見かけ、一目惚れします。

 ダンスパーティーでスティーブとローリーは2人の愛を確かめ合います。一方、カートはパーティー会場を抜け出して街を歩き、不良グループ「ファラオ団」の3人に因縁をつけられます。白いサンダーバードの美女を見かけるものの、どうすることも出来ません。

 ジョンはいつものように車で女の子たちに声をかけるものの上手くいかず、まだ13歳のキャロルを子守り代わりに押し付けられます。

 テリーはデビーという女の子を車に乗せることに成功し、大金持ちだと偽ってデビーの気に入られます。2人は郊外で車を降り、その間に車を盗まれます。

 スティーブとローリーも郊外で最後の夜を過ごしていたものの、スティーブの発言に激怒したローリーはスティーブを車から叩き出し1人で街に戻り、見知らぬ男の55年型シボレーに乗ります。ジョンに勝負を挑もうとしているボブ=ファルファです。一方のスティーブはローリーと離れて街を出ることをためらいます。

 テリーは盗まれた車が駐車場に停めてあるのを見つけるものの、犯人の2人組に殴ら、たまたま通りかかったジョンに助けられて車を取り戻します。

「ファラオ団」のメンバーに言われるままにパトカーの後輪を吹っ飛ばしたカートは、やっと解放されて1人になります。ウルフマン=ジャックにサンダーバードの美女へのメッセージを流して貰おうと考え、郊外のラジオ局に向かいます。たった1人で機器を操作していたひげ面の男は、ウルフマン=ジャックはここにはいないし放送は録音されたものだから、機会があれば彼に渡そうと答えてカートのメモを受け取り、外の世界は素晴らしいぞとアドバイスします。しかしカートと別れを告げた後、マイクに叫んでいるひげ面の男の声はウルフマン=ジャックでした。

 やっとキャロルを家に帰し、1人になったジョンをボブが見つけ、レースを挑みます。噂はすぐに広まり、町外れの直線道路にはレースを見ようとする若者たちが集まります。スティーブも、テリーに貸していた車を奪うように返して貰うと現場へ向かいます。明け方、レースが行われ、ボブの車が横転、炎上して勝負がつきます。命からがら逃げ出したローリーにかけよったスティーブは「私を置いて行かないで」というローリーの言葉に「行かないよ」と約束し、二人は抱きあいます。

 テリーはデビーに対し、大金持ちだというのは嘘で本当は自動車も持っていないのだと告げるものの、デビーは彼を優しく慰め、また会おうと約束します。

 カートはウルフマン=ジャックのメッセージを聞いたサンダーバードの美女と公衆電話で話をするものの、彼女が何者なのか分からないまま電話は切れます。カートは街を離れて進学しようとします。

 朝の空港でカートは家族や仲間たちと別れを告げ、飛行機に乗り込む。離陸した飛行機の窓の下に目をやると、飛行機を追いかけるように、あの白いサンダーバードが走っていた。

 最後に、4人のその後の人生について言及されます。ジョンは1964年6月、酔っ払い運転の車との事故により死亡。テリーは1965年12月、ベトナム戦争に出征中、アン・ロク付近の戦闘中に行方不明となります。スティーヴは、カリフォルニア州モデストで保険外交員になりました。カートは作家となって、現在はカナダに住んでいます。

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