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ルーカス監督『スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望』解説あらすじ

1970年代解説
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始めに

 ジョージ=ルーカス監督『スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望』についてレビューを書いていきます。

演出、背景知識

ヌーヴェルバーグ、ニューシネマ、ベトナム戦争

 ルーカス監督はアメグラもあって、ベトナム戦争を背景とするニューシネマとして作品ジャンルがあります。アメグラのコンセプトは、フローベール『感情教育』、プルースト『失われた時を求めて』に似た、狂騒の中で失われていった過去の時間に思いを馳せるという内容でした。

 本作も戦争や帝国主義を背景にする青春群像劇である点ではアメグラと共通しています。ドライでオフビートで猥褻な青春の狂騒が描かれます。

リバタリアンSFのパロディ。シリアル、剣戟映画に学ぶ新古典主義

 本作品はリバタリアン的価値観を孕むリバタリアンSFのパロディになっています。その点でヴァーホーヴェン監督の『ロボコップ』『スターシップ=トゥルーパーズ』や『バイオショック』シリーズ(1.2)などと重なります。

 リバタリアンSFの先駆となったのはキプリングやコンラッド(『闇の奥』)などの海洋冒険小説やパルプフィクションなどですが、植民地主義的な発想をしばしば内包するものでした。そうしたジャンルと連動しつつ展開された剣戟映画、連続活劇のフォルマリスティックな新古典主義的パロディとしてのスタイルをルーカスはここに確立します。

 剣戟映画や連続活劇独特のスカスカで空虚なムードに仮託して、ベトナム戦争下のアメリカを風刺し、その中に生きるティーンの姿を描きます。

シリーズの展開とフォロワー

 SWシリーズはご存知の通り(?)、すでにSW4がシリーズの中では異色作となっており、当初の連続活劇、剣戟映画のムードは希薄となっていき、モダニズム文学(フォークナー『響きと怒り』、スタインベック、トマス=ウルフ)の神話的象徴の手法、精神分析、キャンベルの神話学を取り入れ、ベタなモダニズムSFになってしまいます。

 一方で『インディ=ジョーンズ』(1.2.3.4)はそのシリアルと剣戟映画のパロディのテイストを保ち続け、演出もさらに洗練させていきました。同種の古典主義はゼメキス、ブラック、ジョンストンへと継承されていきます。

物語世界

あらすじ

 ジェダイ騎士団と旧銀河共和国が滅亡して久しい時代。銀河系は銀河帝国による圧政下にありました。そんな中、反乱同盟軍のスパイが帝国軍の宇宙要塞である初代デス=スターの極秘設計図のデータを密かに盗み出すことに成功します。帝国の皇帝であるパルパティーンことダース=シディアスが最も信頼を置くシスの暗黒卿のダース=ベイダーは、設計図奪還と反乱軍の本拠地の早期発見を命じられます。

 反乱軍の指導者の一人レイア=オーガナ姫は惑星オルデランへ帰還の途上でしたが、帝国軍のスター=デストロイヤーに襲撃され輸送船タンティヴィIVは拿捕されます。激しい戦闘の最中、レイアは養父ベイル=オーガナ元老院議員の友人のオビワン=ケノービに助けを求めるべく、ドロイドのR2-D2に救援メッセージとデス=スターの設計図を託し、R2-D2は相棒のC-3POと共に船から脱出することに成功します。

 R2-D2とC3POは砂漠の惑星タトゥイーンに漂着。原住種族のジャワに捕獲されて売りに出された2体は、農場の主人オーウェン=ラーズとベル=ホワイトスン夫妻と甥の農場手伝いの青年ルーク=スカイウォーカーに購入されます。ルークによって整備されたR2-D2はふとした拍子にレイアのメッセージを再生します。R2-D2は夜中にラーズ家を抜け出し単身でオビ=ワンにそのメッセージを届けようとするが、後を追ったルークらと共に野盗種族タスケン=レイダーの襲撃に遭い、近所に住む老人ベン=ケノービに助けられます。

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